こんにちは!三重県四日市市にある民間のことばの教室「ことばを支援するSakuLag(サクラグ)」です。

今回は言語聴覚士という仕事についてご説明します。

 


 

言語聴覚士はコミュニケーションと飲み込みのスペシャリスト

 言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)は、コミュニケーションや飲み込みに関する専門的な知識と技術を持つ国家資格の医療専門職です。この職業は、言語の理解や表出、音声、聴力だけでなく、興味や注意力、記憶力など相手とスムーズなコミュニケーショを行うために必要とする能力が、何からの要因で損なわれている状態の方々に対して、専門的な評価・訓練を行います。また、言語のみならず、飲み込みの障害に対する課題解決も担います。これらの障害は、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層で発生する可能性があります。

 

 例えば、お子さんの発達障害や言語発達の遅れ、吃音、学習障害、発音の苦手さ、大人の方の脳卒中に伴う後遺症の、失語症や構音障害、高次脳機能障害、高齢者の認知症に伴うコミュニケーションの問題など、多岐にわたる症例に対応します。言語聴覚士は、患者一人ひとりのニーズに合わせた個別の治療プランを作成し、その実行を通じて問題を軽減させることを目指します。またコミュニケーションは、生活を楽しむ手段と問題を解決する方法の2つの側面があります。この2側面を支援することは、まさにその方の生活の質を支援していると言っても良いでしょう。

 

 飲み込みに関する障害においては、誤嚥性肺炎のリスクを高めることや、栄養の偏り、引いては全身状態の悪化にまで影響します。また、食事は生活において生命維持としての役割だけでなく、楽しみとしても大きな役割を占めます。言語聴覚士は、飲み込みの機能を評価し、医師や看護師、栄養士など関連する職種と相談しながら、安全に食べ物や飲み物を摂取するための訓練や指導を行います。このようにして、患者様と一緒にその人らしく食事を楽しめることを目指していきます。

 

 さらに、言語聴覚士は患者様だけでなく、その家族や介護者に対しても指導を行います。家庭でのコミュニケーション方法や飲み込みのケアについてアドバイスを提供し、患者様が日常生活をより快適に過ごせるようサポートします。

 

 言語聴覚士の役割は非常に多岐にわたり、医療チームの一員として他の専門職と連携しながら、患者の全体的な健康と福祉に貢献しています。そのため、コミュニケーションや飲み込みに問題がある場合には、早めに言語聴覚士に相談することが重要です。

 

 

 

言語聴覚士とはどこで出会える?

 言語聴覚士は、多くの場所でその専門的なサービスを提供しています。まず、病院が最も一般的な場所の一つです。急性期病院やリハビリテーション病院では、脳卒中や外傷性脳損傷などの患者に対して、言語や飲み込みのリハビリテーションを行います。これにより、患者様は日常生活において必要なコミュニケーション能力や飲み込み機能を回復することができます。

 

 次に、クリニックや診療所でも言語聴覚士に出会うことができます。これらの施設では、言語発達の遅れがあるお子さんたち、大人の方のコミュニケーション障害を持つ患者様が定期的な治療や評価を受けることができます。地域に根ざしたクリニックは、家庭や学校との連携を図りながら、個別の治療計画を立てることができるため、患者にとって身近な存在となっています。

 

 さらに、学校や教育機関でも言語聴覚士は重要な役割を果たしています。特別支援学校や通常の学校において、言語やコミュニケーションに困難を抱える児童生徒に対して支援を行い、学習のサポートを提供します。教員と協力しながら、児童生徒がより効果的に学習できる環境を整えるための助言や指導を行います。

 

 また、介護施設や老人ホームでも言語聴覚士のサービスを受けることができます。高齢者の中には、認知症や加齢による飲み込みの障害を抱える人が多くいます。言語聴覚士は、これらの問題に対処するための訓練や指導を行い、高齢者が安全に食事を摂取できるようサポートします。

 

 最後に、在宅医療の分野でも言語聴覚士は活躍しています。病気や障害により通院が困難な患者に対して、言語聴覚士が自宅を訪問し、必要なリハビリテーションを提供します。これにより、患者は自宅で安心して治療を受けることができ、家族とのコミュニケーションも円滑に行えるようになります。

 

 このように、言語聴覚士は多岐にわたる場所でその専門的なサービスを提供しており、患者一人ひとりのニーズに応じた支援を行っています。

 

 

言語聴覚士と出会いにくい状況

 言語聴覚士は、コミュニケーションや飲み込みに問題を抱える人々にとって欠かせない存在ですが、現実にはその専門家にアクセスするのが難しい状況が多くあります。この問題は地域によってやや差がありますが、全国的に共通している課題のようです都市部では多くの医療機関やクリニックが集まり、言語聴覚士の数も比較的多いため、必要な支援を受けやすい環境が整っています。一方、地方や過疎地では医療資源が限られており、言語聴覚士の数も少ないため、適切な治療を受けるまでに長い待ち時間が発生することが少なくありません。これは、患者様とそのご家族にとって大きな負担となり、早期の介入が遅れるリスクを高めます。中には、言語聴覚士の支援を受けられる権利を知らないまま過ごしていると言う現状もあるように思います。

 

 また、言語聴覚士の数そのものが少ないという問題もあります。日本全国で言語聴覚士の需要は年々増加していますが、その供給は追いついていない状況です。特に、高齢化社会が進む中で、飲み込みの問題や認知症に伴うコミュニケーション障害を抱える高齢者が増えており、専門的な支援を必要とする人々の数が急増しています。それにもかかわらず、言語聴覚士の養成や配置が十分でないため、多くの患者が必要な支援を受けられずにいるのが現状です。

 

 さらに、言語聴覚士の存在自体が一般にあまり知られていないことも課題です。多くの人々が、言語や飲み込みに関する問題を抱えた際に、どこに相談すればよいのか分からず、適切な支援を受ける機会を逃してしまうことがあります。言語聴覚士という専門職の重要性を広く知ってもらうためには、啓発活動や情報提供が不可欠です。医療機関や教育機関、地域社会が協力して、言語聴覚士の役割や支援の内容について周知を図ることが求められます。

 

 このように、言語聴覚士に出会いにくい現状には、地域格差、専門職の不足、認知度の低さなど複数の要因が絡み合っています。これらの課題を解決するためには、言語聴覚士の養成・配置の強化や、広報活動の充実が必要です。最近ではSNSなどを通じて、言語聴覚士の存在が認知されやすくなってきました。こう言った時代の技術を活用しつつ、広く知れ渡るように工夫することも求められます。そして、言語・コミュニケーションにお困りの方が、適切な時期に必要な支援を受けられるよう、社会全体で取り組むことが重要です。

 

 

まとめ

 言語聴覚士は、コミュニケーションや飲み込みに関する問題を専門とする医療職です。子どもから高齢者まで、言語や音声、飲み込みの障害に対する診断、評価、治療を提供します。

 

 言語聴覚士に出会える場所は、病院、クリニック、学校、介護施設、在宅医療など多岐にわたりますが、地方や過疎地では言語聴覚士の数が不足していることや認知度が低いことによって、適切な支援を受ける機会を失っている可能性があります。年々、言語聴覚士による専門的な支援を必要とする人が増加していますが、その需要に対して言語聴覚士の供給・普及が追いついていません。

 

 今後、言語聴覚士の重要性を広く認識し、適切な時期に必要な支援を受けられるよう、啓発活動や情報提供が不可欠です。言語聴覚士の支援は、言語・コミュニケーションでお困りの方の生活の質を向上させる力を持っており、その価値を広く知ってもらうための努力が求められます。

 


 

【ことばを支援するSakuLag】
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